経済

【解説】米国株価の暴落サインとは?

こんにちは!

米国の株価と関係がある経済指標を知りたい・・

どの経済指標が重要なんだろう?

米国の代表的な経済指標を知りたいけど、難しそう・・

今日はこんなお悩みについて、解説したいと思います。

なお、筆者は理系出身ですので、これまであまり経済に触れる機会は少なかったのですが、一社会人として投資をする場合、最低限の経済知識は身につけたいと考えています。これから経済を学びたいといった方にもポイントを絞ってわかりやすく記載することを心掛けていますので、本ブログを通じて皆様と一緒に学べたら幸いです。

世界の中心である米国経済を一緒に学ぼう!

今回の検証内容

以前の記事で、株価とGDPの間に強い関係があると書きました。

前回記事はこちら→【経済】米国GDPと株価の関係 – 富さんの資産運用ブログ (freejinsei.com)

また、他の米国の経済指標も株価と連動するか調べてみようと思い、中でも最重要と考える「雇用」「金利」「物価」の指標を中心に株価との関係性を検証してみました。

前回記事はこちら→【経済】米国の株価に関係する経済指標とは? – 富さんの資産運用ブログ (freejinsei.com)

今回は、米国の株価の暴落サインについて、どの指標を見ればよいのか検証してみたいと思います。なお、将来の株価動向について誰しもが完全に予測できないので、あくまで暴落の備え(炭鉱のカナリア)として、読者ご自身の考えの参考となれれば幸いです。

仮説

米国の各指標から株価暴落を予測できるのか?

それでは順番に見ていきたいと思います。

米国の経済指標について

1.バフェット指数

バフェット指数は、投資の神様ウォーレンバフェット氏が注目する指標と言われています。実際にバフェットが使用しているのか真偽は不明だそうです。

株価指数とGDPは切り離せない関係であり、GDPに対して株価期待度が割高か割安かを判断できる指標と考えられています。このバフェット指数は、以下の式から算出され、米国の株価指数(S&P500など)と非常によく連動します。

バフェット指数 = 株式市場の時価総額 ÷ 名目GDP × 100%

株式市場の時価総額はウィルシャー5000という指数を使用します。GDPはインフレ率を考慮しない名目GDPとインフレ率を考慮する実質GDPがありますが、ここでは名目GDPを使用します。なお、2023年2月時点のバフェット指数は以下の通りです。

2023年2月時点 バフェット指数 =(株式市場の時価総額)÷(名目GDP)=43.9T/26.2T = 167%

出典:Buffett Indicator Valuation Model (currentmarketvaluation.com)

 

バフェット指数は「100%が適正水準」と言われています。一方で標準偏差のばらつき+2σを超える水準、特に139%~146%を上回ると、かなり割高と判定されます。

現在のバフェット指数は167%ですので、かなり割高の結果です。GDP成長により株価上昇を伴うのでトレンドラインも右肩上がりとなるので、一概に〇%超えたからアウトとは言えませんが、歴史を見ても、トレンドライン+2σで反発を繰り返しています。

ちなみに2022年の株価下落前のピークでは、バフェット指数が200%を上回り市場はかなり過熱状態だったかと思います。これからFRBが政策金利を上げていこうという矢先に、SNS界ではレバレッジNASDAQ(通称レバナス)が流行ってましたよね・・。

過去の株価ショックにおいて、バフェット指数とトレンドラインの差分をまとめたのが下表となります。適正レンジにもかかわらずショックが起こっており、相場に絶対はありませんが、少なくとも割高局面では短期投資(投機)は避けた方が賢明と思います。

The Buffett Indicator at All-Time Highs: Is This Cause for Concern?から作成

バフェット指数は2021の危険域ほどではないが、かなり割高の水準。

2.PER

PERとはPrice Earnings Ratioの略で、日本語で言う「株価収益率」のことです。以下の計算式から算出されます。日本企業HPの財務情報や、米国企業の個別銘柄のPERはYahoo Financeなどで確認できますが、S&P500などの指数のPERについても、海外のサイトで確認できます。(以下グラフ引用先参照)

PER= 株価 ÷ EPS(一株あたりの純利益)

2023年2月現在のS&P500のPERは、「21.22」です。

米国大手金融機関のモルガンスタンレーがISM製造業指数から算出したS&P500の適正水準は「PER18倍程度」になりますので、やや割高という印象です。2000年代に入ってからリーマンショックなどの世界的な金融混乱もありPERが乱高下していますが、昨年の下落前よりは少し割安になっています。

出典:S&P 500 PE Ratio (multpl.com)

 

米国企業を代表する指数(S&P500)のPERはやや割高の水準。

3.2年債・10年債の金利差

次に、長短金利差を見てみます。

短期金利は中央銀行の政策金利に連動することに対し、長期国債金利の利回りは、その国の実質経済成長率+期待インフレ率の予測で決まります。

景気の先行き不透明感が強いとき、市場はリスクオフとして、株などのリスク資産から債券へと資金を移動させます。債権が買われると、金利は下落(債券価格は上昇)します。

以下は米国債2年債利回りー10年債利回りの差分をとったグラフです。一般に、短期でお金を借りる方が金利が安く、長期でお金を借りる方が金利が高くつきますので、この差分がプラス圏になるのが普通です。

出典:Federal Reserve Economic Data | FRED | St. Louis Fed (stlouisfed.org)

ところが、近年は長短金利差が逆転する現象(逆イールドカーブ現象)が発生しています。しかも現在も1980年代以降のワーストを記録し続けており、逆イールドの谷がどんどん深くなっています。過去10年に一度くらい逆イールドが発生しており、発生後1年~1.5年後に、100%景気後退に陥っています。

ただし、これは経験則に基づく指標ですので、直接的な下落原因(世界を揺るがす金融危機や出来事など)がないと株価暴落は来ないと思いますが、2022年4月1日に今回の逆イールド現象初観測後そろそろ1年が経ちますので、今年の特に夏頃にかけて投資家はナーバスな心理が続くと思います。

・なぜ逆イールドがよくないか?

理由は様々ありますが、経験則から市場参加者の警戒が強まります。一般に銀行業は短期で資金調達し、長期で融資することで利ザヤを稼ぎますので、これが逆転すると分が悪いことや、景気後退に陥ると与信費用増加などで収益悪化&資金の貸し渋りなど景気が悪い条件が揃ってしまいます。

歴史を振り返っても景気後退期は株価が大きく下落していますし、インフレ抑制としてせっかく利上げをしても、コロナショックの時の様に利上げも止めて緊急利下げが必要となるかもしれません。

長短金利差は約40年ぶりの水準まで悪化、直近の景気後退を示唆している。

4.VIX

恐怖指数(CBOE Volatility Index: VIX)を見てみます。その名の通り、市場参加者のセンチメントを表す指標で、一般に25以上となると弱気相場、それ以下だと強気相場となります。2023年に入ってからボラティリティは比較的落ち着いています。

歴史的に見ても、株価暴落や景気後退期にはVIXが超急激に上昇していることがわかります。近年のコロナショックでは、VIXが40~50となり、株価や為替も連日滝のように変動しましたね。

特に短期取引で勝負する人はVIXが急上昇するとかなり肝を冷やすと思いますが、インデックス長期投資など手堅く運用している人にとっては、絶好の買い時を示します。

2023年2月現在、VIXは19~21程度ですので、市場は落ち着いていることがわかります。今後のロシア-ウクライナ戦争などが急展開を迎えると、VIXも変動すると思いますので、引き続き観測を続けたいと思います。

出典:Federal Reserve Economic Data | FRED | St. Louis Fed (stlouisfed.org)

現在の市場の恐怖は落ち着いている。

5.クレジットカードローン債務

以下は、クレジットカードローンの支払い延滞比率の推移グラフです。アメリカは決済方法の約6割でクレジットカードを選ぶほどのカード社会です。2021年ごろからローン支払いの延滞割合の増加傾向にあります。近年約40年ぶりの高インフレに見舞われ、家賃の増加、支出の増加が理由とみられます。

支払い延滞率は、過去に増加傾向にありますが、リセッションを予測できるかとまではいかないかと思います。というのも、不景気においては企業のレイオフが続き、失業率が増加、借金を返せないといったサイクルが主流と思いますで、実際に延滞率が急上昇するのはリセッション期に入ったあとなんですね。

ただし、リーマンブラザーズの破綻時も傾向はありましたが、住宅や信用取引など借金が積みあがっている、それに加えて金利高政策が続いている、バブルが膨らんでいっているときこそ危険だと思います。金持ち父さん貧乏父さんの書籍で有名なロバート・キヨサキ氏の本(どの本か失念)でも触れられてました。

現在危険域かはわからないが、クレカ債務者が増加傾向にあるので、引き続き同行はウォッチしたいと思います。

出典:Federal Reserve Economic Data | FRED | St. Louis Fed (stlouisfed.org)

クレカ債務者が増加傾向にあるが、暴落指標となり得るかはわからない。

 

検証結果のまとめ

今回検証した指標について、下表に関係をまとめました。

5つの指標のうち3つが株価にはよくない傾向を示しており、危険な兆候が見られていることが読み取れます。その他にも、2023年1月の失業率が3.4%と歴史的に低い値(景気が強くピークを示唆)、同月の雇用統計も強く、中央銀行が最重要視する個人消費支出価格指数(PCE)も前年比5.4%と予想5.0%から大きく外れ、インフレがまだまだ続きそうな結果となりました。中央銀行はさらなる利上げを迫られ、株価には逆風となります。

投資初心者の方は、短期での全力投資は避け、余剰資金を蓄えながら積み立てた方が暴落に巻き込まれないかもしれませんね。

現在の状況株価への影響
バフェット指数バフェット指数は2021の危険域ほどではないが、かなり割高の水準。×
PER米国企業を代表する指数(S&P500)のPERはやや割高の水準。×
2年債・10年債の金利差長短金利差は約40年ぶりの水準まで悪化、直近の景気後退を示唆している。×
VIX現在の市場の恐怖は落ち着いている。
クレジットカードローン債務クレカ債務者が増加傾向にあるが、暴落指標となり得るかはわからない。

 

検証結果

・バフェット指数、PER、長短金利差、VIXは株価の暴落予測になり得る。

・歴史的に見ても複数の危険なサインが点灯している。

 

米国株投資について

米国株への投資はどうなの?

以上を踏まえたうえで、投資について述べたいと思います。

結論からお伝えすると、米国株は有望な投資先です。

理由は以下の3点です。

・世界最大の市場で、あらゆる面で国力が強い

・世界中から金融資本が集まる

・今後のGDPや雇用の伸びに伴い、株価の上昇も見込まれる

初心者の方には、多くのSNSやメディアからS&P500やNYダウに連動するインデックスの投資信託 or ETFの長期投資がおすすめされており、筆者も長期保有しています。

これらは証券会社がおすすめする大体の投資信託や株よりも手数料や信託報酬が安いです。ネット証券から購入しましょう。

<投資信託一例>

三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

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米国株投資を始めるには?

まずは、ネット証券の口座を開設しましょう。米国株が買えたり、クレジットカードでポイントが貯まる積み立て投資が可能な証券会社がよいです。このあたりは節約術にもつながってきますのでまた別途ご紹介します。

おすすめは、楽天証券、SBI証券、マネックス証券です。

まとめ

・バフェット指数、PER、長短金利差、VIXなど、株価の暴落予測になり得る。

・歴史的に見ても複数の危険なサインが点灯している。

・米国インデックスへの長期投資がおすすめ。